羊毛フェルトでよく使われる羊毛の品種に「メリノウール」「コリデール」「ロムニー」があります。この記事では、それぞれ品種の特徴と、どのような作品に適しているかを紹介します。

メリノウール以外の羊毛を使うと作品の幅が広がるよ!
この記事の概要
- メリノ:滑らかで色が豊富、刺し跡が目立ちやすい。幅広い作品を作れる。
- ロムニー:ごわごわした感触で早く纏まる。動物らしい作品向き。
- コリデール:メリノとロムニーの中間の性質。取り扱いが少ない。
羊毛フェルトで使われる品種
羊には多くの品種がありますが、羊毛フェルトでよく使われるのは以下の3つです。
- メリノ種
- コリデール種
- ロムニー種(ロムニーマーシュ)
この中で、メリノ種(通称「メリノ」や「メリノウール」)が最も一般的です。手芸店で販売されている羊毛は、特に記載がなければほぼメリノウールと考えてよいでしょう。安価で高品質なため、初心者から上級者まで幅広く愛用されています
それぞれの羊毛の特徴
使用する羊毛の品種によって、作業のしやすさや仕上がりの手触りが異なります。各品種の特徴を表にまとめました。
品種 | 手触り | 繊維の太さ | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
メリノウール | 滑らか | 18~25μm | ・色が豊富 ・植毛ができる | ・刺し跡が目立ちやすい |
コリデール | 柔らかい | 28~32μm | ・少し早くまとまる | ・手芸店での取り扱いが少ない |
ロムニー | ごわごわ | 32~36μm | ・早く纏まる ・刺し跡が目立ちにくい ・しっかりとした仕上がり | ・細部の表現が難しい ・色が少ない |
手触りや繊維の太さ、性質に違いがあります。メリノウールは色が豊富で入手しやすく、幅広い作品を作ることができ、羊毛フェルト作品に最もよく使われます。ただし、刺し跡や毛羽立ちが目立ちやすいため、きれいに仕上げるには少し技術が必要です。一方、ロムニーはメリノウールと対照的な特徴を持ち、コリデールはその中間的な性質を持っています。
ロムニーとコリデールを触ってみる

ロムニーとコリデールはあまり馴染みがないかもしれません。そこで、実際に触って比べてみました。
見た目はほぼ同じですが、ロムニーは少し縮れています。手触りは、ロムニーが獣の毛に近く硬めで、コリデールは柔らかくふわふわしています。この違いから、動物らしい作品にはロムニー、ふわっとした質感の作品にはコリデールと使い分けられそうです。
メリノウールをさらに詳しく
ここでは、一般的に広く使われるメリノウールについて掘り下げます。ややマニアックな内容なので、読み飛ばしても問題ありません。
産地
メリノウールの主な産地は、オーストラリア、フランス、ニュージーランドの3か国です。
産地 | 名称 | 特徴 |
---|---|---|
オーストラリア | オーストラリアメリノ | ・世界最大の生産量 ・繊維が細く柔らかい ・捲縮(けんしゅく)が多い |
フランス | フランスメリノ | ・入手性がやや劣る ・品質にばらつきがある ・弾力と光沢がある |
ニュージーランド | ニュージーランドメリノ | ・柔らかさと肌触りが良い ・希少性と品質が高い |
普段目にするメリノウールは、主にオーストラリア産です。高品質で、羊毛フェルトの素材としても十分な毛質を持っています。
フランス産メリノは品質にばらつきがありますが、ふっくらとした特徴があり、布団の中綿などに使われることが多いです。
一方、ニュージーランド産メリノは柔らかくしなやかですが、流通量が少なく入手が難しいのが現状です。
産地にこだわる必要は普段あまりないかもしれませんが、知っておくと作品作りや素材選びで役立つこともあるでしょう。なお、国産羊毛もありますが、品質やコストの課題から、あまり流通していません。
繊維の太さ
メリノウールは繊維の太さによって5つのグループに分類されます。
メリノの分類 | 繊維の太さ[μm] |
---|---|
スーパーエクストラファインメリノ | 16.5~17.5 |
エクストラファインメリノ | 18.5~19.5 |
ファインメリノ | 20~21 |
ミドルメリノ | 20~22 |
ストロングメリノ | 23~25 |
ミクロン単位の差なので見た目ではほとんどわかりませんが、触るとその違いが結構分かります。細いほど滑らかで柔らかく、太いほど硬質感があります。
普段は繊維の太さまで気にする必要はないかもしれませんが、リアルな質感や手触りを追求したい場合は意識してみるとよいでしょう。
まとめ
- メリノ:滑らかで色が豊富、刺し跡が目立ちやすい。幅広い作品を作れる。
繊維の太さでグループ分けされ、質感や手触りが変わる。 - ロムニー:ごわごわした感触で早く纏まる。動物らしい作品向き。
- コリデール:メリノとロムニーの中間の性質。取り扱いが少ない。
最後に
今回は、羊毛フェルトで使う羊毛の種類についてまとめました。普段は品種や繊維の太さまで気にしないかもしれませんが、これを機にさまざまな羊毛にチャレンジして、あなたの作品の幅を広げてみてはいかがでしょうか。
今回は以上です。良い羊毛ライフを!
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